夏の音色の主役「アブラゼミ」の観察図鑑
ジリジリと鳴く声が聞こえてくると、日本の夏が本格的に始まったと感じさせてくれるのがアブラゼミです。市街地から山地まで広く生息しており、日本人にとって最もなじみ深い昆虫の一つと言えるでしょう。今回は、アブラゼミの基本情報から観察のポイントまで、編集部が詳しく解説します。
観察に適した場所
アブラゼミは、サクラやケヤキ、カキ、ナシなどの広葉樹を好みます。都会の大きな公園や街路樹、庭先、さらには雑木林など、樹木がある場所ならどこでも見つけることができます。特に都市部では、ヒートアイランド現象の影響もあり、他のセミよりも多く見られることが一般的です。木の幹を注意深く探すと、低い位置に止まっていることも多いため、子供たちでも見つけやすい種類です。
見られる季節
七月の梅雨明け頃から姿を見せ始め、八月に発生のピークを迎えます。九月の中旬を過ぎると次第に数は減っていきますが、秋の気配が漂う頃までその鳴き声を楽しむことができます。成虫の寿命は野外では数週間程度ですが、夏の間は次々と新しい個体が羽化してくるため、長い期間にわたって観察が可能です。
見分け方と特徴
最大の特徴は、翅(はね)の色です。日本のセミの多くは翅が透明ですが、アブラゼミは全体が不透明な茶色をしており、これが大きな見分けのポイントになります。体長は六センチメートル前後で、頭部から背中にかけても茶褐色や黒色が混じっています。鳴き声は「ジリジリジリ……」と、油で揚げ物をしているような音がすることから、その名がついたと言われています。午後の暑い時間帯によく鳴く傾向があります。
似ている種類との違い
同じ環境で見られるクマゼミは、アブラゼミよりも体がひと回り大きく、翅が透明で、お腹側に白い粉をふいているような特徴があります。また、ミンミンゼミは体が緑色っぽく、こちらも翅は透明です。翅が全体的に茶色くて透けていないセミを見つけたら、まずアブラゼミだと判断して間違いありません。また、羽化した直後のアブラゼミは翅が白いですが、時間が経つにつれて特徴的な茶色へと変化していきます。
観察と飼育のコツ
羽化の様子を観察しよう
最も感動的な観察体験は、夕方から夜にかけて行われる羽化です。夕暮れ時に地面から這い出してきた幼虫を見つけたら、そっと木に登る様子を見守りましょう。背中が割れて、真っ白な翅が現れる姿は非常に神秘的です。数時間かけてゆっくりと茶色く色づいていく過程は、夏休みの自由研究の題材としても最適です。
飼育について
セミは成虫になってからの寿命が短く、常に樹液を吸う必要があるため、虫かごの中での長期飼育は非常に困難です。無理に捕まえて育てるよりも、自然の中で鳴き声や生態を観察することをお勧めします。どうしても一時的に観察したい場合は、大きめの飼育ケースに生のクヌギやサクラの枝を入れ、乾燥しないように注意してください。観察が終わったら、体力が残っているうちに元の場所へ逃がしてあげましょう。
身近すぎて見落としがちなアブラゼミですが、その独特な茶色い翅や力強い鳴き声には、日本の夏ならではの魅力が詰まっています。この夏はぜひ、近くの公園で彼らの姿を探してみてください。
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